データから見る中上選手の安定感

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去年、今年と(今年はまだ始まって数戦しか終わってませんが)、中上選手がシングルフィニッシュすることにいい意味で驚かなくなってきました。MotoGP公式サイトではこれまでのリザルトが公開されていますが、これが結構細かいレベルのデータが公開されてます。これらの中から中上選手の「安定感」の参考になるデータがあったので、そのご紹介。

リザルトはこちらから確認出来ますが、1949年からという、今から70年前のリザルトから確認出来ます! そんな前なのでデータの粒度はさすがに荒いですが(決勝1着のタイムのみとか)、日本だと1987年の日本GPからのデータが確認出来ます。

2021年のデータで言えば、つい先日行われたヘレスのリザルトも各クラス上がっていて(MotoEもあります!)、フリー走行、予選、決勝すべてあります。その中でも決勝で用意されているリザルトが順位表と、それ以外に8つ!も公開されてて、いわゆるいろんなスタッツ情報にアクセス可能。

私みたいなのがそんな詳しい情報見ても正直「へぇ~」くらいにしか思わないものもあるんですが(笑)、例えばAnalysisという情報をもとに少し調べてみました。

Analysisでは各ライダーの各ラップ情報まで確認できます。中上選手の5ラップ目と6ラップ目でどう違うかというのを4つのセクションごとのタイムで比較出来たり、そのほかラップごとの最高速、そしてタイヤチョイスまで、これを全選手で確認することが出来ます。

下のグラフは中上選手の各ラップごとのセクションタイムをグラフにしたものですが、中上選手はラップタイムが比較的安定してるんですよね~

要はグラフの「なみなみ」が穏やか、つまり毎回安定してラップしてるということ。「なみなみ」だと数値でわかりにくいので、こういうときに出てくるのが「標準偏差」。もう、標準偏差という言葉を聞いただけで頭が痛くなりそうですが(笑)、要するに「標準偏差が小さい→ラップが安定している」ということだけ見ていただければと思います。

全ライダーを解析するのは地味に手間だったので、、、とりあえず中上選手以外にミラー、モルビデリ、クアルタラロ、マルケス、ロッシ、ブラドルを並べてみたのがこちら。だいたいどの選手も波がありますが、中でも中上選手(赤色)の波が穏やか(=標準偏差が小さい)なのでSec1~Sec4全体でグラフの下の方に位置してます。数値で言えば0.05~0.1の間。特にSec3のタイムはこのメンバー中でもっとも揺れが少なく、Sec4もクアルタラロについて2番目。

縦軸(左)が区間タイム、縦軸(右)が標準偏差です。

ちなみに数値の見方ですが、中上選手のSec3の平均タイムが29.555秒で標準偏差は0.064。標準偏差を2倍して0.128となりますが、これは平均タイムの±0.128秒(つまり29.427~29.683秒)に全ラップがほぼおさまってるという驚異的な正確さ。抜きつ抜かれつの決勝でもこの安定ってさすがですね!!(おことわり:素人に言われたくないというのは百も承知ですので!)。

ちなみに中上選手のSec3がそもそも速くて、でも最も速いのはブラドルだったのですが、上のグラフのとおりブラドルは安定していない(遅いときもある)というデータ。ま、遅いと言ってもめちゃくちゃ速いんですが(笑)。

他を見てみると、マルケスはやっぱ本調子でないのかタイムが結構ぶれてるのが分かると思います(すべて0.1以上)。あと腕上がりで後半ペースが落ちてしまったクアルタラロは、全体の標準偏差はグラフの一番上、もっとも揺れが大きいという結果(0.4とか)ですが、ペースが落ちる前までの前半タイムで見てみると相当揺れが少ない(0.05~0.12)という結果。

一方で各選手の区間タイム(ベスト)を見てみるとそんなに大きい差はなく(上のグラフの真ん中あたりに集まってる折れ線)、となるといかに毎回このベストな区間タイムを出し続けられるかということになって、このへんでばらつきの小さい中上選手がシングルフィニッシュというのをよく目にするのもなるほどなーという気もします。

これはあくまで「ラップのばらつき」を見ているだけなので、これだけで誰がどうのと結論づけられるものではないですが、でもデータは割と結果を正確に反映してくれてるのかなーと。1年前、2年前のデータと見比べるとさらに分かってきますが、グラフまとめるのに割と時間かかるので(笑)、また時間のあるときにやってみます。

ちなみに歴代レースの結果一覧みたいなリザルトもあって、これを見るとロッシの89勝というのはずば抜けてるんだなーと改めて納得。マルケスでも56勝、ドゥーハンが54勝と続きます。

あと全クラスまぜこぜの歴代レース結果一覧というのもあって、60~70年代に活躍したジャコモ・アゴスチーニが122勝でトップ。そしてその次がロッシで115勝。100勝を越えてるのはこの2人だけ。122回1着というのはいったいどういう気分なんでしょうね??? それにロッシが続いてるというのも、やっぱロッシって活きる伝説なんだなーと。近年はさすがに厳しいリザルト続きとはなっていますが、動向とても気になります。

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