バイクエアバッグをつけても負傷率軽減はたった7%なの??

埜口選手の悲報や谷本の事故の話が続きますが、わが身もアマチュアながらサーキットを走る身としては他人ごとではないです。自分自身もういい年だし、この年で骨折するとほんとに治るの時間かかるんだと体を張って証明し(笑)、もうこれ以上転倒や負傷はしたくないし、あるいは自分が転倒してほかのライダーを巻き込むとか、巻き込まれるとかどちらも避けたい。

2015年だったかな、筑波で転倒して以来エアバッグをつけるようになりました。またHYODのこんなパンツをインナーにつけて骨盤回りのプロテクトも。おかげで?先日のもてぎ転倒時には肩こそ負傷したもののそれ以外は全くの無傷。

で、埜口選手の事故のニュースの際に、その記事に気になる文が。

2019年に国際交通安全学会誌で発表された「鈴鹿サーキットにおける安全対策と救急体制」の論文によると、エアバッグを装着し、作動したライダーが頭部、顔面、頸部、頚椎を負傷する確率は非装着、非作動と比べて7%下がっているとのデータがある。

ん?? たった7%しか下がらないの?? え? もっと守ってくれるのかなあなどと期待していた自分に冷や水をかけられた気分。もちろん「エアバッグさえしてれば平気だぜ~」とかは思っていませんし、実際にエアバッグしながら鎖骨もしっかり骨折したわけで。でももうちょっと守ってくれてるというデータがあるといいんだけど。

気になったのでその論文を見てみることに。J-STAGEという論文が掲載されているサイトにありまして、興味のある方はぜひ見てみてください。単にエアバッグの負傷率低下について書かれてるだけではなくて、論文そのものは「鈴鹿サーキットにおける安全対策と救急体制」であり、これまでの鈴鹿サーキットの安全取り組みの歴史を振り返ることができます。しっかり改善にむけて取り組んできたんだなと学習。

さて上記の引用はこの論文の後半、コースを安全対策してますよという前半に続き、医務室やライダー自身の安全対策に触れた部分ですが、まずレース参加者の医務室利用率を年齢別に見たときに、若いライダーの医務室利用率が高いとのこと。うん、これはなんとなくわかる。若いライダーのほうが果敢に攻めるんだろうなと。そのため18歳以下にはエアバッグを義務化したとのこと。

一方、医務室利用者のエアバッグ装着ありなしでの深刻度を見ると、確かにエアバッグ装着者のほうが深刻なダメージである頭部・頸部・脊椎あたりの割合は小さいものの、それがこのタイトルにもある「7%」なんですよね。

このグラフの左がエアバッグ作動、右が非装着または非作動。①~④が特に深刻なダメージのある部位として、左が15%に対し右が22%。つまり7%改善となります。

ん?でもこれってこの①~④に限って言えば、「22%が7%も減って15%に」、つまり32%改善してるのでは??? つまりエアバッグを装着することで32%深刻なダメージを防げると言えます。それでもまだ70%ほどは防げないということですが。

あとエアバッグ作動の母数が25しかないので、もっと母数が増えてくるとまた変わるかもしれません。とはいえこの母数を増やすには転倒してエアバッグを作動させ、かつ医務室にいかないといけないので敷居は高いですが(笑)、統計的にはまだまだ信頼できるほどの母数とも言えません。

あともう一つ気になる点、円グラフの見出しが「エアバッグ装着」ではなく「エアバッグ作動」とあること。つまり「エアバッグは装着していたが作動しなかった場合」があるということですね。やだなあー。これまじ避けたい。ワイヤーが長すぎたり、転倒によってはワイヤーが引っ張られないでそのままバイクとともに流れてしまったとかなんですかね。

話を戻して、エアバッグをつけることで深刻なダメージを32%向上できる!というなかで、プロライダーのエアバッグ装着率は決して高くないのが実情。アマチュアレーサーのほうが装着率高いかも。すみません正確な数字は把握してませんが、全日本ライダーでもエアバッグしてるとかエアバッグ内蔵スーツ着てる方を見るほうが少ないです。

先の谷本選手のツイッターを見ると、装着している場合とそうでない場合があるみたいで、先日の事故は私は直接見てないので当日どちらだったかは分かりませんが、転倒リスクの高いプロライダーこそエアバッグを装着義務にすれば、一気にエアバッグ装着率も上がるかなと勝手に思ってます。

ライダー側からすればコンマ1秒でも削りたいのにそんなうっとうしいものつけたくないというのもあるはず。過去に機会ある時に全日本ライダーさんに聞いてみてるのですが、やっぱ口をそろえて「できれば着たくないよね」「うっとうしいし」というご意見。

MotoGPでは電子センサータイプのエアバッグが内蔵されたスーツを着ます。転倒者を見るとスーツがもっこりしてるのが分かると思いますが、あれを全日本ライダーが装着できればいいんでしょうが、たぶんお高いんでしょうね、それもかなり。

なかなかレースと安全面の両立は難しいですが、私もできる限りの安全対策+プロテクターを装着し、かつ十分なマージンをとってサーキット走行楽しむようにします。ぶっちゃけ先日の鎖骨骨折、結構ダメージ多かった(今も残ってます)。あれをもう繰り返したくないというのが本音。生活も不自由になるし、リハビリ痛いし。。。

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