電動バイクのチューニングどころを勝手に想像してみる

前回は電動バイクの出力(kW)について書きましたが、今回は電動バイクのチューニングどころについて書きたいと思います。あくまで想像だし、多分に私見が入っていると思うので、「んなわけねーよ!」というツッコミは無しで!

電動バイクと言ったって基本的には「バイク」なので、エンジンを除いたバイクの知見(足回り、姿勢、フォルム、挙動、タイヤ、駆動系などなど)はそのまま活用出来るはず。モーターになるので音や振動はだいぶ減る代わりに、巨大なバッテリーでかなり重くなります。MotoEがMotoGPのだいたい+100kgくらいだそうで、市販バイク換算だと270-280kgくらいのイメージ。二人乗り感覚でレースするってイメージです。ただし重心はだいぶ低くコンパクトなので二人乗り感覚のままというほどではないと思いますが、それにしても重いから止まらないとか、曲がらないとかはあると思います。

いわゆるエンジンチューニングに相当する部分ってどういうところかなと思いますが、これって私が細々やってる「ラジコン」が参考になるかも。

ラジコンの世界でもエンジンカーと電動カーというのがあって、電動カーがメジャーどころだと思います(手軽だし、音静かだし)。そこで行われているチューニングポイントは下記3つ。

  • モーター
  • バッテリー
  • アンプ

これと同じことが電動バイクにも言えるんじゃないかと予想しています。

モーター:

まず一番分かりやすい「モーター」。様々なタイプのモーターがあって、高回転型、高トルク型、省エネ型などほんといろいろあって、ラジコン界では車種や目的に応じて変えるということはよくやります。でもそうなるとイコールコンディションでの戦いにならないので、たいていのレースでは「540モーター限定」等の制限が付くことが一般的。

電動バイクの場合、モーターを変えるということはふつうしない(出来ない)と思うし、もし変えられたとしてもイコールコンディションにならないのでレギュレーションで禁止にするでしょう。

ラジコン界の「540モーター限定」という制限の中では、いかに540モーターを高出力にチューニングするかということを行って、少しでも有利に運べるようにします。私も詳しくは知りませんが、レース後にモーターを清掃したり、軸受けにグリス塗ったり、ブラシを整えたりします(昨今はブラシレスモーターが人気なので、この場合はブラシはありませんが)。ナラシも当然やります。

電動バイクの場合も、レース後にオーバーホールするのかな? 出来るのか? いかに高出力を維持出来るかというメンテナンスをしていくんだろうと思います。モーターではいかにロスなく電力を伝えきるかというところに尽きると思っていて、ブラシメンテナンスなんかはその代表格。ただバイクモーターって見たことないのでどうメンテナンスするのかもまだ全然分かりませんが。

バッテリー:

続いてバッテリー。ラジコンレースで上位を狙う方はたいてい「マッチドバッテリー」というのを使います。ラジコン用バッテリーは通常1.2vのセルを6つつなげて7.2vを作るわけですが、その6つのセルを厳選して、「いい6つ」を選りすぐり、それで7.2vを作るというわけ。私はここには踏み込んでいないですが、「全然違う」と経験者談。

これと同じく、電動バイクでもバッテリーコンディションはかなり影響度が大きいはず。ヨシムラとかから「マッチドバッテリー」とか出るんでしょうか。バッテリーは何度も充電繰り返すとパフォーマンスが落ちるので、電動自転車のようにバッテリーが取り外し出来るのであれば、通常は練習用を繰り返し使って、レースでは本気用バッテリー? もし取り外し出来ないタイプだとバラして付け替えになるのかな。

現在でも車やバイクのバッテリーは定期的に交換しないとセル回らないし。電動バイクの場合もパフォーマンス維持するために定期的に交換するんでしょうね。

またバッテリーがエンジンと違ってやっかいなのは、完充電からしばらくはとても高出力ですがそれは長続きせず、徐々にパフォーマンスが減っていくというところ。ガソリンエンジンでも「熱だれ」ってありますが、あの比じゃないくらい遅くなっていきます。そうならないようにバッテリーも改良は進んでますが、でもまだまだこの特性は残ってるので、電動バイクでもそうなんだろうなあ。

例えばGS YUASAのページにもありますが、バッテリー種類により多少違いはあれど、たいていこういう曲線で放電していくので(時間が経てば経つほど電圧が下がる=遅くなる)、なるべく前半の「いいところ」を使ってレース終えられるようにしないといけなくなります。このへんのマネジメントが超難しそう。これを回避するために電子回路の世界ではバッテリーからの電圧を一定に整える回路を入れますが、電動バイクのような大きい電力でも使えるのかな?この辺は正直よく分からん。

アンプ:

最後にアンプですが、これはモーターへの電力を制御する電子部品。バイクだとECUに相当するものと言えます。これをより高出力対応(ロス低減)のものに変えたり、出力特性を変えたりということになりますが、ここは今のエンジンチューニングでも「マップを変える」ということをやってるので、これと一緒な対応になるのではと思います。だいぶ今のイメージに近い感じ。

とまあ、あくまでラジコンベースの妄想なのでなんとも言えないですが、基本は「出来るだけモーターの出力を上げる」かつ「コンスタントに高出力を出す」ということになります。電力を渡す配線もたぶん「低損失コード」とかいうのも出るんでしょう。

あとモーターならではの実装として、ホイル内にモーターを配置するモデルもあって、こうなると車体設計ががらっと変わりますね。うまくやれば前後ホイルにそれぞれモーターを内蔵した「2駆」モデルも可能ですね。テスラも2モーター制御なので、2モーターの制御方法(完全に同期して回す)はすでに確立してるんでしょう。2駆になると乗り方全く変わりますよね。フロントがより安定してぐいぐい旋回しそう。コーナーリングスピードも上がりそう。

まだまだ課題の多い電動バイクですが、バッテリーの小型化さえ進めば一気に状況変わりそう。そうするとこれまでのバイクメーカー、パーツメーカー以外の新規参入もあるんでしょうね。ラジコンで有名な「ヨコモ」の参入とか、自転車およびエボルタで有名な「パナソニック」とか、はたまた中華系インド系の新興メーカーにも参入のチャンス。既存メーカーにとっては脅威ですね。パワートレインチューニングの知識も振り出しに戻る感じか? 空燃比の調整どころ等が全く無意味になって、より「電子制御」知識が求められますね。

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