レース車のタンクはどうなってるのか?(=ワンオフで作る)

鈴鹿8耐終わりましたね~ ちょっと帰省やらなんやらでばたばたしてて遅れての更新となってしまいましたが、2着に入ったTOHO Racingは、レース後車検で燃料タンクの過容量が記録され失格となりました(レースリザルトへのリンク)

降着でなくて失格です。厳しいですね。

で、そもそもレース車の燃料タンクってどうなってるのかというのを、私がわかる範囲で書きます。

たかが燃料タンク、されど燃料タンク。私が出ていたアマチュアレースでさえ燃料タンクに手を入れます。ただし好き放題手を入れられると困るのでレギュレーションで決められているわけですが、そこはレギュレーションとのせめぎあい。

例えば以前出ていたDE耐では燃料タンクの交換が認められています。例えばこちらはMotoフェスティバルの規則書のなかから「Motoミニクラス車両規則」の抜粋。

このようにレギュレーションとして燃料タンクの改造が認められています。クラスによって違って、下記「エンジョイクラス」だとタンク改造はNGですが、他車種のタンクが無加工でつくのであればOKというもの。

言わずもがな、耐久レースでは燃料補給が付きまとうので、少しでも大きいタンクで走ったほうがいろいろとメリットありなんです。もちろんその分重くなるとか大きくなって空気抵抗がとかいろいろありますが、それらを差っ引いても大きいタンクのメリットがはるかに上回ります。なんといってもピットインの回数を減らせるのが一番大きいですね。

じゃあタンク大きい車両のほうが有利じゃん!ということで、DE耐やもて耐では1回の給油量に制限を設けたり、給油したら3分ピットストップすることなどいろいろレギュレーションで対策をします。

一方、8耐はガチレースだから3分ピットストップとかはないです(当然ですがww)。なので規則みちみちまでタンクを大きくして、そしていわゆる「死にガス」(タンクの端っこに残る決して使われないガス)部分を限りなく少なくするような改造をします。たいていの場合はワンオフでタンク作ります。

そして今度は給油する装置の話。

普通にタンクにガソリンを入れると結構時間かかったりしますが、タンク内空気を抜きながら入れると速くなり、さらに重力に任せるのではなく押し込むような仕組みだとさらに速くなります。が、押し込む機構は安全面からNGとなっていて、いかに重力だけで24リットルを数秒で入れるか?というのが各チーム競っているとのこと。

給油口は、大きくは長年見かける「2つ穴」のパターンと、EWCでは標準となっているストーブリ(STAUBLI)のどちらか。2つ穴のものは、片方からガソリンを入れ片方から空気を抜きます。ストーブリはそれを1口の中で実現しています。ちなみにストーブリの機構はネット通販で買うこともできますが、給油システムとセットで100万円以上! 金かかるなあ(笑)

燃料タンクについてはauto sportのこの記事がよくわかります

で、TOHO Racingはこのストーブリシステムを使っていました。伊勢志摩経済新聞の写真を見ると、確かに1つ穴の口が見えます。

以前はTOHO Racingも2つ穴のを使ってましたので、これの変更によってなんらか計算違い?が発生したのかも(あくまで推測)。去年からストーブリシステムを使ってたかもしれませんし、でも一方で失格後のコメントで「去年と同じ手順で何度も確認していた」とも言っているので、真意はわからずあくまで推測です。

さらにその後「初歩的な計算ミスが明らかになりました」とのコメントも出してます。原因が分かったというのは個人的には大きいなあと。なんかよくわからんまま失格となりもやもやしたまま来年を迎えるより、原因→対策ができますし。

んで、もう一つ、これをレース前車検で指摘するべき!というコメントも多く見ますし、それはおっしゃるとおりと思うんですが、現実を考えるとやっぱ実施できないですよね。

レース前車検でどこまで検査するかですが、50台のマシンを1台1台詳細に検査はしてられない、なので安全面を中心に行います。突起物はないか、緩んでる箇所はないか、明らかな違反はないか、このあたりを見ます。ばらさないと確認できない箇所(タンクとかエンジン内部とか)は、トップ6あたりまでをレース後に「車両保管」して調べます。今回はここで発覚したということ。

車検の難しいのは「前のレースでOKだった」「去年は何も言われなかった」というのが通用しないこと。レギュレーションも全く変わっていない、そして前のレース車検で何も指摘されなかったのに、今回指摘されるというのも、多くはないですが時々あります。要するにレース規則って「どう解釈するか」という余地が残っているわけ。もちろん規則側も変に解釈されないように追加修正をしていきますが、それでもその余地が残っているので、アマチュアレースでもレース前車検は割とドキドキします。

ちなみに給油しながらタイヤ交換等はNG。タイヤ交換や必要な整備がすべて終わって、バイクに誰も手を触れてなくても自立する状態で給油します。これは過去に、給油中にバイクが倒れてしまったことがあったそうで、その状態で万が一発火なんてことしたらどえらいことになるということで、必ず誰も触れてなくても自立する状態で行います。

さて今日午後から、遅ればせながら3月に転倒したCBR250Rの修復を行います! 遅。 体が自由に動かなかったのと、業務で時間が取れなかったんですが、9月第3戦に向けて始動開始!

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