ビデオカメラのシャッタースピードは割と遅めで

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サーキット走行している方々の中にもカメラ好きな方も多いんじゃないかと思います。「バイクを流し撮りするにはシャッタースピードを遅め、○分の1にして」とか、いろんなサイトで出てくる話かなと思いますが、今回は動画撮影での話。

動画にもやっぱシャッタースピードというのがあって(当たり前と言えば当たり前なんですが)、バイクのように動きの速いものを撮影するときでもシャッタースピードは割と遅めにすると見慣れた動画に仕上がります。

動きの速いものの撮影でシャッタースピード遅め? なんだか矛盾してるようにも見えますが、書き間違えでは無いです。シャッタースピードを上げるとその瞬間の絵はピッタリ止まるのですが、動画撮影だとそれが却って「見にくい動画」、「パラパラとした動画」になってしまうので、速い被写体でもシャッタースピードは割と遅めが基本です。

一部、スポーツ競技等で瞬間を止めたい(サッカー選手の蹴る瞬間を狙いたい、水泳の飛び込みの瞬間を捉えたい)とかいう時はシャッタースピード上げますが、それ以外のトップ集団を捉えたり、引きで全体を撮ったりするカメラの動画はたいてい遅めです。

じゃあそのシャッタースピードってどのくらいがいいかというと、ズームの程度にもよりますが、だいたい1/125くらいを基準にもうちょっと早くとか遅くとか。もちろん撮影位置やどの程度バイクを大きく撮りたいかにもよりますが、1/500までいくと上がりすぎかなと。

動画の場合、シャッタースピードが上がりすぎると「パラパラな絵」になります。パラパラな絵だと見にくいというか、不自然というか、なんとも言いにくいんですが、目で見てる感覚とだいぶ変わります。

例えばこれは雨模様ですが、1/30から1/1000まで上げていっている様子です。1/30だと遅すぎて雨降ってるかよく分かりませんが、1/250くらいだとだいぶ降ってる感があると思います。逆に1/1000まで上がると雨や枝から落ちる滴がはっきり見えすぎてて、目で見てる感覚とだいぶ違います。動画のフレームレートにもよるんですが(この動画は60p)、30pとか60pの世界ではこれはパラパラ過ぎ(そんなに強い雨では無かったので、低い解像度だとそもそも雨見えないかもです。全画面で1080pとか720pで見ると分かりやすいです)。

よくテレビニュースで「強い雨が降ってます」とかいうのを見かけますが、それを1/30とかで撮ってしまうと「それほど強くない絵」に仕上がってしまうので、目の感覚に合ったスピードを選ぶっていうのが結構重要。

(後日追記)上の動画は雨が細かすぎて一部分かりづらかったので、別日に取ったものもアップします。

人間の目は良い感じで鈍感なので、蛍光灯やLEDのように高速点滅しているものを認識出来ず、「点滅じゃなくてずっと光っている」と認識します。動画もこれと同じで、速く動いているホイール等は「人の目にはつながって見えている」ので、動画でもこれと同じようにつながって撮影する(=シャッタースピードを遅くする)とより自然になります。柄の付いたコマを高速回転させると色がつながって見えるのと同じ理屈。

オートバイだとこんな感じになります。先日の筑波TT、最終コーナーの様子をシャッタースピードいろいろ変えて撮影しました。動画から切り出した静止画を見ると分かりやすいと思います。観客スタンドからだと「金網」がどうしても間に入ってしまうんですが、その金網の映り込み方も併せて見てください。1/60だと金網がだいぶ消えていますが、1/1000だとはっきり映り込んでいます。

まず1/60。だいぶ流れた感じがあると思いますが、逆に被写体ブレも発生しやすくなります。ただ動画だと絵がどんどん流れるので、被写体ブレが却って躍動感を出す場合もあるので、写真ほどは気にしなくてもいいかも。

1/100。1/60と比べてあまり違いはないと思いますが、若干被写体のくっきりさが出てきてると思います。このあたりまでだと手前の金網が良い感じで流れてくれるのでそれほど気にならないです(静止画切り出しだと結構見えてますが、動画だとそれほど気にならない)。

1/250。このあたりから少しパラパラ感が出てきました。

1/1000。ここまで来るとかなりパラパラした感が出て、手前の金網もかなりくっきり映り込むようになります。

というように、だいたい1/100あたりのシャッタースピードがそれなりに良い感じに撮れることがお分かりいただけると思います。シャッタースピードが遅い場合は手前の金網も流されるので目立たなくなり、一石二鳥☆

実はスマホで撮ったりホームビデオカメラで撮るとこの「速いシャッタースピード」に勝手になることがほとんど。特に晴天ではこうなってしまいます。スマホやホームビデオはいろんなところで撮影されるの前提なので、ピーカンから夜景までのオートでそれなりに撮れる必要があって、シャッタースピードも上がったり下がったりが激しいです。

子供のサッカーの様子を撮る場合、外でしかも晴れとなると、おそらく1/2000くらいまで上がってしまい、選手やボールの動きがパラパラして、「いかにもホームビデオ」感が出てしまいます。

シャッタースピードを遅くするためにはオート撮影ではなく「シャッタースピード固定」を使います。「うちのビデオカメラじゃそんな機能ないよ~」と思うかもしれませんが、実はたいていのビデオカメラにあります。

下記はソニーHDR-CX560Vという10年くらい前のカメラですがこれにもありますし、もっと昔に買ったキヤノンiVIS HV10にもあります。なので大抵のカメラにはあるはず(ただしメニューの奥の奥にあることが多い)。これで1/125とかにして撮影してみてください。ぐんとプロっぽい絵で撮れると思います。MotoGPの国際放送でもだいたいこの程度のシャッタースピードになってると思います。

一点だけ注意事項が。これをやると入ってくる光の量が多くなって動画が明るすぎて真っ白の映像になってしまうので、別途「NDフィルタ」というものをレンズに付ける必要があります。そんな高くは無いんですが(3,000円くらい)、いちいち取り付けるのぶっちゃけめんどくさい。業務用ビデオカメラだとこの機能が内蔵されていて、スイッチだけで切り替え可能だったりします。街のぶらり旅テレビ番組で、道から店舗に入るときに映像が一瞬明るくなったり暗くなったりしますが、あれはカメラの設定を変更してNDフィルタをオンオフしているためです。

こちらはKenkoのPRO1D Lotus ND64。サイズにもよりますが3,000円くらい。価格よりも付けたり取ったりというのがめんどくさい。

NDフィルタを付けると絵が暗くなるので(暗くするために付けるので)、今度は絞りを開けることになります。つまり被写体前後のピントがボケてくれるので、さらに絵に躍動感が出てきます(その代わりピントずれしやすくなります)。

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