動画編集パソコンをIntelからRyzenへ
リリース当時から気になっていたRyzen。どうやら「Ryzenは動画編集に向いている」らしく、エンコードが速くなった!というレビューをいろいろ見てきて、かつIntelより安く組める。一方でこれまでずっとIntelでしか組んだことが無くて、CPUメーカーが変わっても同じように動作するんだろうけど、少々不安。Ryzenだと得意不得意な処理が変わってくるんじゃないか(例えばレンダリング速いけど編集が遅いとか)といろいろ考えましたが、まあやってみないと分からない!ということでやってみました。
結論から言うと、確かに安くて速い! 編集プレビュー時も大きくパフォーマンスアップ、そしてレンダリングは条件によりますが1.5〜2倍速く(50〜100%速く、ものによってはもっと)なりました。ご参考までにレビューしたいと思います。
(CPUよりGPUに金投入したほうがいいんじゃない?と迷うところかもしれませんが、結論から言うと動画編集の編集作業にはCPUが効いて、レンダリングにはGPUが効きます。このへんはこちらにまとめてあるので併せてどうぞ)
これまでのシステムは2011年に揃えた一式で、途中i5 2500k->i7 3770kに変えたものの基本はこれで約10年間くらいやってきました。不満はありましたがまあ編集もなんとかなるし、レンダリングもまあ待てばいいし、という気持ちでしたが、ここ1年くらいでマルチカムをやるようになり、レンダリングはまだしも編集時のプレビューが全く追いつかず(2フレーム位しか出ない)、そろそろ買い換えようかなと思っていました。
Ryzenのほうが安いのはそのとおりなのですが、Intelが手が届かないほど高いかというとそうでもなくて(Intelのほうが例えば2倍3倍高いとかではないという意味)、どっちにしようかなーと散々迷った挙げ句、やっぱ一度Ryzenを味わってみたいということでRyzenに確定。
じゃあどのモデルにしようか、ここは迷いました。3000番台だと3500, 3600, 3700あたりが候補価格帯。経験上シングルコアのクロック数は出来るだけ高い方がプレビューに効きやすいというのと、価格のバランスを取って、まずは3600あたりから始めて、ゆくゆく3800や3900を狙おうか、または最初から3700を買って長く使おうかなーとか考えていたところ、いろいろ調べると2000番台がかなり安くなっていることに気づいて。安いお店で2600が3600のだいたい半額くらい。初めてのRyzenということで、万が一失敗しても痛まないようにという作戦に行こう!ということにし、Ryzen 5 2600をベースに組むことにしました。CPU+マザボ+メモリ16GBで3万円ちょっとでした。
10年前のシステムからの入れ替え+6コア12スレになるんだからだいぶ速くなるかなーという期待でいっぱい。でもコア数は増えるもののシングルコアのクロック数は同じなので、ほんとに効果出るのかな??という気持ちもいっぱい。
入れ替えは特に難しいこともなく、Win10, Adobe CS6, Vegas各種ソフトの再認証は走りましたが、特に不具合無く完了。
早速測ってみたところ確かに向上したものの、「あれ?こんなもんなんだっけ?」という感じでしたが(30%アップくらい)、BIOSでAi Overclock TunerをD.O.C.P.として、Memory Frequencyを3200MHzにしたところいい感じになり、50%〜100%速くなりました!
新旧システムはこんな感じ。
旧 | 新 | |
CPU | Core i7 3770k | Ryzen 5 2600 |
マザーボード | ASUS P8H67-V | ASUS TUF B450-PLUS GAMING |
メモリ | CFD 4GB x 4 | CORSAIR CMK16GX4M2B3200C16 ( 8GB x 2 ) |
ビデオカード | ASUS PH‑GTX1060‑6G | 同じ |
ディスク | SANDISK SSD SDSSDH3 ( 500GB ) SEAGATE HDD ST2000DM001 ( 2TB ) |
同じ |
電源 | 鎌力参450W | 同じ |
さて、気になる結果はこちら。
(Vegasは全てMAGIX MP4への変換になります)
Core i7 3770k | Ryzen 5 2600 | ||
Vegas | 4K30p XAVC S 50Mbps
to 4K30p 20Mbps |
1:09(NVENC)
3:45 |
0:43(NVENC)
1:59 |
Vegas | AVCHD 720p60 14Mbps
to 720p60 8Mbps |
2:17(NVENC)
4:36 |
1:20(NVENC)
2:49 |
Vegas | XAVC 422 1080p60 50Mbps
to 1080p60 8Mbps |
9:09(NVENC)
26:04 |
6:01(NVENC)
13:59 |
Vegas | HDV 1080i60
to 1080p60 20Mbps |
4:45(NVENC)
27:39 |
3:07(NVENC)
15:02 |
Filmora | XAVC S 1080p60 50Mbps
to MP4 1080p60 8Mbps |
2:15 | 1:23 |
Premiere CS6 | XAVC S 1080p60 50Mbps
to AVCHD 1080p60 8Mbps |
2:00 | 1:29 |
Vegasでのプレビュー結果はこちら
Core i7 3770k | Ryzen 5 2600 | |
4K30p | Bestで28fpsくらい、Draftで30fps | Bestでも30fps |
XAVC 422 60p | Bestで25fpsくらい、Draftで27fps | Bestでも60fps |
4カメラ (XAVC 422 60p XAVC S 60p AVCHD 60p AVCHD 60p) |
2fps前後 | シーンにより30pから60p |
というわけで、エンコードは期待通り速くなり、そしてプレビューも一番の懸念であって「マルチカムのプレビュー」も大幅改善となり、これでマルチカムもストレスなく作業が出来そう! FilmoraもPremiereもそれぞれ速くなって、確かにRyzenでコスパ良く、十分な結果となりました。
今はFHDがメインですが、今後4Kを使うようになってパワーが足りなくなってきたら、3000番台とか今後出るであろう4000番台へスイッチでしょうか。3000番台はこのままいけますが、4000番台以降はマザボが対応してくれていれば、ですね。このシステムでも向こう5〜10年くらい使えるといいなーと思います。
ちなみにAfter Effectsのパフォーマンスも測ってみましたが、プレビューはほとんど変わらず、レンダリングは20-30%速くなりました。私のAEはCS6なので相当古くて、GTX1060はその時代のAEだと対応していないようで、「互換性のないデバイス」という認識になってしまいます(設定ファイルにGTX1060を追加して選択出来るようにしてみましたが、全く効果無かったです)。
遙か昔に使っていたGTX570には対応していて、ぶっちゃけこっちの方がプレビューはスムーズでした。やっぱ最新のAEを買えということなんでしょうけど、それほど頻繁に使うものではないので、このまま継続かな。