人はなぜコケるのか? (フロントからコケるパターン)
さて次はフロントからコケるパターンについて。
リアからコケるパターンにも書きましたが、フロントからコケる場合はよほどのことが無い限り「ハイサイド」のようにライダーがぽーんと飛んでしまうとか、バイクがごろんごろん転がっていくというのはあんまりなく、つつつーと滑っていくことが多いです。
バイクが直立している状態だとフロントがロックしてもいきなりコケたりしませんが、サーキットだとだいたい多かれ少なかれ傾いていることがほとんど。特にコーナー進入時は徐々に倒していくことになるので、ここでロックしたらまずコケます。
またロックせずともよくMotoGPなんかで解説の方が転倒シーンで「フロントが切れ込んでしまいましたね~」というのがあると思いますが、要するにフロントタイヤがグリップを失って滑ってしまい、そうなるとハンドルが切れ込んでしまうのでそういう言い方をよくします。
中にはマルケスのようにフロントから滑ってハンドル切れ込んでしまっても、膝や肘を地面に擦ったまま走行し続け、そしてフロントグリップを取り戻すとかいう「そんなのありかよ!」ということをする人もいますが、そんな人はまれ。普通はコケます。
またコーナー進入直後で切れ込んで転倒すると結構激しく、いきなりバタッとコケますが(いわゆる握りゴケはこれにあたる)。奥までじわじわふんばって進んで最後にコケてしまうときは比較的マイルドにコケます。
サーキットではフロントブレーキ握りながらコーナーに入ることが多いですが、この握る量、バンク角、路面グリップ、荷重、このへんのバランスが狂うとコケるというもの。サーキット走行始めたばかりのうちはブレーキ握りながらコーナー進入しないのであまりフロントからコケることはないと思いますが(除:つるつるタイヤ、低温等)、だんだんペースが上がってくるとフロント握ることでフロントタイヤに荷重がかかり、よりグリップするようになるのでやっちゃうんですよね~ いわゆる「フロントタイヤを潰す」「フロントフォークを縮めながら」という表現、それがこれにあたります。
フロントゴケを避けるにはいかにブレーキをかける時間を短くするかだと個人的には思っていて(もちろん倒しすぎというのは避けるとして)、フルバンクまでにブレーキをリリースするように心がけています(フルバンク付近でブレーキかけたいときはリアブレーキにするとか)。「ブレーキをかける時間を短く」というのは表現がなかなか難しいですが、「短期間でがちっと」という意味ではなく、「コーナーの奥まで引きずりすぎない」と言ったほうがいいかも。このへんの加減はとても難しく(今でもなにが正解か分からない)、ほんとに薄くブレーキかけながら、バンク角が深くなるのと逆にブレーキをどんどん弱めていく感じ。
余談ですが、「フロントブレーキを薄くかける」という表現は使いますが、逆に厚くかけるとはあまり言わないなあ。
あとは切り返し時にフロントからずるっと行くのも多いパターン。筑波で言えばアジアコーナーの右→左。もてぎではビクトリーの左→右。切り返すときにフォークが必ず伸びる(=荷重が抜ける)ので、筑波なら次の左(もてぎなら右)で再び荷重がかかるタイミングでずるっと行くときがあります。かつどちらも共通するのは路面形状。筑波では左コーナーが若干逆バンクになってるし、
もてぎでは右コーナーが上り坂になってるので、まっすぐ入らないと実際のバンク角以上にバンク角が付いてしまい荷重抜けて転がってしまいます。
基本的に上り坂や逆バンクでは荷重抜けやすいのでより荷重を意識しないといけないんでしょうね。筑波の1コーナーは上り坂で進入し、途中で平坦になるのでそこで荷重が抜けてしまうので、ここもしっかりフロント入れた状態で曲がるといいのかなと。
あとは雨の日とか寒い日ですね~ グリップしない路面でコケるときって進入の時が多い気がする。私も冬のもてぎで何度となくフロントから滑ってほんとコケるかと思いましたが、、、そういうときって一気に滑る=十分な減速が出来ていない状態での転倒なので痛くて、、、「路面冷えてるので慎重に」というアドバイザーの方々のコメントをくどいくらいにたたき込んだ方がいいかもです。
ところで、これも主観が入りますが、サーキットで速い人に多い傾向にあるのが、コケてもそのままハンドルにしがみついたまま滑っていくパターン。私だったらさっさと離してしまうんですが、速い方はコケた後のリカバリーも速くて、ハンドル握ったままコケて、止まったらまたすぐ起こして走るという、こういうのをよく見てます。MotoGP選手もこの傾向が多い。今度MotoGPの放送でもコケたときにライダーがハンドル握り続けてるかどうか見てみてください。